中古輸入車界きっての優等生=W124も生産終了から8年そろそろ主役の座をW210やW202に明け渡すときがきたようです「メルセデスらしいメルセデス」をじっくり選ぶなら今が最後のチャンスかも。さあ、あなたはどうしますか?



メルセデスは新しいほどいい、というのがクルマ界の常識。新型が登場すれば一時的には旧型を惜しむ声があがるものの、ハンドリングや実用性、経済性などあらゆる面で新型は旧型を凌ぎ、路上での世代交代も順当に進んでいきます。気がつけば古いメルセデスは自然に淘汰され、一部の趣味人のためのクルマとなっていく。そして、この引き際の潔さが、実用車の鏡たるメルセデスらしさだったりもするわけです。

 ところがW124(先々代Eクラス)の場合は、ちょっと違っていました。さながら新車博覧会の様相を呈している東京都心の路上でウォッチングしてみても、すでに2世代前のモデルとなったW124が淘汰される気配は一向にありません。それもマニア車としてではなく、普通のドライバーがごく普通に乗っていて、どのクルマも21世紀の最新モデルに負けないほどビシッと輝いて見えるのです。この勢いだと、最近くたびれたクルマが目につくようになったW210より、ひょっとしたら長く生き延びるかもしれません。
それはなぜなのか。
最大の理由は、W124が「使い減り」のしないクルマだということでしょう。
いかにW124とはいえ、足まわりやエンジンやトランスミッションはある時期がくればメンテナンスは必要になりますが、ずっと使う部分と消耗する部分とが明確に造り分けられているので、消耗品を交換すれば新車のようにシャキッとするのです。そうやって大切に乗っているかぎり、W124のボディはそれこそ30万km、50万kmと走ってもビクともしません。
ウソだと思うなら、ヨーロッパや東南アジアに海外旅行に出かけたときにでも、W124のタクシーかリムジンを探して乗ってみるといいでしょう。リヤシートに収まったら、まずはオドメーター(95年の最終モデルでも間違いなく50万kmは超えているはず)をチェックして、あとはほんの100mも走れば、フラットで剛性感に満ちた一枚岩の乗り味に「オオッ!」と
叫びたくなること請け合い。そして、できればW210のタクシーとも乗り比べてみてください。W124の凄さが、もう嫌というほどわかるはずです。

 それだけに、いまW124の中古車を選ぶなら、いわゆる「メーター戻し」に騙されないよう細心の注意が必要でしょう。仮に実走行20万kmのクルマのオドメーターが6万kmぐらいに巻き戻されて店頭に並べられたとしても、そこそこメンテナンスを行ってあれば、普通のお客さんにはまず見抜けません。逆に、メンテナンスによって乗り味が確実によみがえる以上、価格と程度のバランスが取れていれば過走行であってもさほど気にすることはないと思います。
 ですから、いまW124を選ぶなら、走行距離や年式や記録簿といった「肩書き」を盲信せず、何台も乗り比べて自分がいちばんと感じた個体を買ってください。基本的に使い減りのしないW124の場合、素人が乗ってボロいと感じるような個体は相当なボロですから、そういうものは間違っても買ってはいけません。もちろん、中古W124を新車の味に戻すに
は、それなりに費用がかかります。
でも、仮に100万円の中古車を100万円かけてフルメンテナンスしたとしても合計200万円。乗りっぱなしでヨレヨレの初期型W210を買う予算があれば、世界が認めたスーパー実用車を、新車のようなコンディションで味わうことができるのです。 どうです、今度W210やW202を見に行くついでに、W124にもちょっと乗ってみたくなったでしょ?